連携・協力による脱炭素の環 ~神奈川電設株式会社 市内初「ZEB」の認証取得~
神奈川電設株式会社へ市長から感謝状を贈呈
神奈川電設株式会社は、大幅な省エネルギー化を実現した社屋を建設し、市内で初めてネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)の認証を取得しました。
本市としても、2021年4月に寒川町とともに「気候非常事態宣言」を表明し、市民・事業者の皆さまと一丸となって2050年までに温室効果ガス実質ゼロのカーボンニュートラルを目指しています。その中で、市内の一事業者である神奈川電設株式会社がZEB認証を取得し、率先して市域の二酸化炭素排出抑制に貢献されたことに感謝の意を表し、2023年6月2日に市より感謝状の贈呈をさせていただきました。
感謝状贈呈式には、神奈川電設株式会社の他、株式会社フジタ、横浜銀行茅ヶ崎支店、茅ヶ崎商工会議所、マスコミの皆様が出席しました。
-
感謝状の贈呈の様子(1) (Jpg 106.6KB)
-
感謝状の贈呈の様子(2) (Jpg 118.0KB)
-
神奈川電設株式会社 新社屋(1) (PDF 375.8KB)
-
神奈川電設株式会社 新社屋(2) (PDF 360.4KB)
「ZEB」について
「ZEB」とは
快適な室内空間を保ちながら、電気や熱などのエネルギー使用量を多く減らすために、高い断熱性能の壁や窓、電力消費の少ないLED照明などの省エネ機器を駆使し(省エネ)、それでも減らせない分を太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用して賄おう(創エネ)という考えで設計・建設された建物のことです。
ZEBは、建物の実態に応じて取得を目指すことができるよう、(『ZEB』)(Nearly ZEB)(ZEB Ready)(ZEB Oriented)の4段階に分けられています。神奈川電設株式会社が取得したZEBは、ZEB Readyになります。
「ZEB」の脱炭素への効果・メリットについて
業務部門(事務所ビル、商業施設などの建物)でのエネルギー消費量は、日本全体の約20%を占めており、2016では1990年と比較して、産業部門からのCO2排出量は17%減少したにも関わらず、業務部門からのCO2排出量は66%増と大幅に増加しています。
そのため、業務部門でのエネルギー消費量を大きく減らすことができるZEBが普及にすることで、全体のエネルギー消費量にも大きな効果があります。
また、建物をZEB化することで、光熱費の削減の他、災害時の事業継続等の様々なメリットがあります。
「ZEB」のコストについて
ZEBのコストとして、例えば「ZEB Ready」では、省エネルギー基準相当の建物と比べて、約9~18%の建築費増と試算されており、必ずしも実現が困難なものではありません。
なお、対象建物・事業によっては、国のZEB関連補助金の対象となることもあります。
神奈川電設株式会社社屋の環境配慮設計について
株式会社フジタは、設計の前段階から神奈川電設株式会社と話合いを重ね、社員の想いをくみ取り快適な環境かつ地球に優しい社屋の設計を行いました。
神奈川電設株式会社は元々、ZEB認証の取得を考えている訳ではなかったのですが、省エネ等を含めた設計が進む中で、もう少し省エネ設計部分を増やすとZEB認証が取得ができる段階で、株式会社フジタがZEB認証の取得を提案し、神奈川電設株式会社も決断したと話を伺っています。
省エネ設計としては、様々な技術により小さいエネルギー消費量の削減を積み重ねることで、結果として全体で大きなエネルギー消費量の削減となり、ZEB認証を取得に至っています。
なお、環境に配慮した社屋にしたことにより、基準となる建築物で設計を行った場合と比較して、年間約49トン(約50%)の二酸化炭素削減が見込まれます。
神奈川電設株式会社のZEB認証取得にあたっての詳細な省エネ・創エネ設計については、添付資料「環境配慮設計の主要技術等」をご参照ください。
【関連紹介】ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)について
ZEHとは
ZEB同様、快適な室内空間を保ちながら、省エネ・創エネにより、年間のエネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅です。
「ZEH」の脱炭素への効果・メリットについて
日本国内の全エネルギー消費量の13.8%を住宅が占めているため、住宅での省エネをより進めることができれば、ZEBと同様に全体のエネルギー消費量にも大きな効果があります。
また、住宅をZEHにすることで、光熱費の削減の他、次のとおり様々なメリットがあります。
(1)経済性
高い断熱性能や高効率設備の利用により、月々の光熱費を安く抑えることができます。さらに、太陽光発電等の創エネについて売電を行った場合は収入を得ることができます。
(2)快適・健康性
高断熱の家は、室温を一定に保ちやすいので、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な生活が送れます。さらに、冬は、効率的に家全体を暖められるので、急激な温度変化によるヒートショックによる心筋梗塞等の事故を防ぐ効果もあります。
(3)レジリエンス
台風や地震等、災害の発生に伴う停電時においても、太陽光発電や蓄電池を活用すれば電気が使うことができ、非常時でも安心な生活を送ることができます。
「ZEH」のコストについて
ZEH住宅の価格は、導入する機器やシステムの違いでグレードが異なるので明確に決まっているわけではありませんが、価格の目安として、一般社団法人環境共創イニシアチブの調査報告によると、「多くの家庭では、大体300万円ほどの費用を追加してZEH住宅を実現している」というデータが出ています。
なお、ZEH住宅は光熱費が削減できる他、一定の基準を満たせば、国からの補助金を受け取ることができたり、住宅ローンが減税となる場合もあります。
グリーンローンについて
グリーンローンとは
企業や地方自治体等が、国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために用いる融資をグリーンローンと呼びます。
(注)グリーンプロジェクトとは、地球温暖化など環境問題の解決に取り組む事業のことで、省エネルギーに関する事業や気候変動適応に関する事業等が該当となります。
グリーンローンは金融機関による脱炭素支援で、借り手、貸し手だけではなく、環境・社会面に対しても様々なメリットがあります。
詳細については、次の(外部リンク)をご参照ください。
グリーンローン融資に至った経緯
横浜銀行茅ヶ崎支店は神奈川電設株式会社に融資を行うにあたり、初めからグリーンローンを提案していた訳ではありませんでした。対話を重ねていく中で、神奈川電設株式会社の社長の想いや考えを通して、グリーンローンを提案するに至ったと伺っています。
グリーンローンは、どの企業に対してもご協力できる融資ではなく、本件グリーンローンは、第三者評価機関により国際原則に適合している旨の意見書を取得しています。本件は、ローン資金が充当される神奈川電設株式会社の社屋建設が「ZEB Ready」相当の省エネ性能が期待できるとして、グリーンローン原則の適合に対する判断材料となりました。
神奈川電設株式会社と株式会社フジタの相互協力によってできた社屋設計に合わせて、横浜銀行茅ヶ崎支店による提案に伴い、グリーンローンによる融資に至りました。
グリーンローンから伴走支援へ
グリーンローンによる融資を受けた企業は、資金使途に関する最新の情報を開示し、全ての資金が充当されるまでは少なくとも1年に1回情報を開示することになります。また、資金使途となる資産やプロジェクトの売却、プロジェクトにおける重大な事故などのグリーン性に影響を与える大きな状況の変化があった場合には、全ての資金が充当された後においても、適時情報を開示すべきとされています。
(開示情報 例)
調達資金を充当したグリーンプロジェクトの概要、進捗
環境改善効果(実績・予測)(エネルギー使用量等)
充当した資金の額
銀行は、情報開示の報告を行う際に企業と対話を行います。対話を重ねることで、お互いの関係性が構築されるとともに伴走支援につながり、企業との連携が強化されるものと考えられます。
(注)伴走支援とは、中小企業等が経営難や事業継承など、経営上の課題に直面した際に、金融機関などが事業者の「伴走者」となって、 継続的に事業計画や資金の相談に乗り、課題を解決するための支援を行うことです。
グリーンローンを通して、企業との関係性が構築されることは、企業の考えや脱炭素をはじめとした状況の把握にもつながります。その中で「行政」と「銀行」が連携することにより、企業の脱炭素支援につなげていきます。
連携・協力による脱炭素の環
本件は、神奈川電設株式会社の新社屋への想い、神奈川電設株式会社と話合いを重ねZEB認証の取得できるような社屋の設計を行った株式会社フジタ、同じく神奈川電設株式会社の想いや考えを聞く中で金融機関による脱炭素支援であるグリーンローンによる融資を提案した横浜銀行茅ヶ崎支店、それぞれの連携・協力があって、ZEB認証を取得した社屋の建設に至っています。
また、感謝状の贈呈式に関係いただいたマスコミの皆さまのおかげで、様々な方へZEBについて認知していただけました。市としても本件を通してZEBだけでなく、ZEHやグリーンローンについて、お知らせすることができました。
更に、茅ヶ崎商工会議所についても、企業を様々な角度からサポートするにあたり、本件を通して脱炭素に対する取り組みの知見が得られました。
カーボンニュートラルの実現のためには、市民・事業者など様々な立場の皆さまの連携・協力による脱炭素の環を広げる必要性があります。
今後も、脱炭素化に向けた取り組みの推進をよろしくお願いします。
ご利用になるには、Adobe社 Acrobat Reader 4.0以降のバージョンが必要です。Acrobat Reader をお持ちでない方は、Adobe社のホームページ(新しいウィンドウで開きます)からダウンロード(無償配布)し、説明に従ってインストールしてください。
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください
このページに関するお問い合わせ
環境部 環境政策課 温暖化対策担当
市役所本庁舎2階
〒253-8686 茅ヶ崎市茅ヶ崎一丁目1番1号
電話:0467-81-7176 ファクス:0467-57-8388
お問い合わせ専用フォーム