漂着物からわかること
茅ヶ崎の海岸は相模湾に面しています。相模湾には、砂や岩礁といった海底の様子、波の強弱、海流や水深などの諸要素が合わさって生まれたさまざまな環境に適応するように、実に多様な生物が生息しています。また、相模湾は海流が非常に複雑な海なので、様々なものが茅ヶ崎の海岸に流れ着きます。海岸に打ち上げられた生物や流れ着いたものを合わせて漂着物と言います。
ここでは実際にどんなものが漂着したかをご紹介しています。これらの貝類は、どれも茅ヶ崎の海岸に流れ着いていたのを採取したものです。また漂着物を調べることで、どんな生物が、どのように海に棲んでいるのかをうかがい知ることもできます。
また、人工物からも面白いことがわかります。このようなおもちゃやジュースのパックも海岸で採取したものです。特にこのジュースのパックにはカルエボシという生物が付着しています。カルエボシは漂流物や船底に集団で付着する生物なので、このジュースのパックがいかに長きにわたって海を漂ってきたかを知ることができます。
ちなみにラベルを細かくみると、このジュースはオーストラリアの製品であることがわかります。
「HEALTH STAR RATING」とは、オーストラリア政府による、パッケージ化された商品に健康評価をする取り組みのことだそうです。このジュースパックはオーストラリアから流れてきた可能性もありますね。
こちらのエボシガイも、同じく漂流物に付着する生物です。この標本の個体は、こちらの写真のとおりブイにびっしり群生しているのを採取した中の一部です。これだけの個体が付着しているということからも、やはりこのブイが遠くの海から流れ着いたことがわかります。エボシガイとカルエボシは一見貝のようにも見えますが、貝類ではなく甲殻類で、フジツボなどに近い生き物です。
さて、このダンベイキサゴという巻貝は、市内北部にある縄文時代の貝塚からも発見されています。縄文時代から現代まで、同じような生物が茅ヶ崎の海にいるというのも、何とも興味深いのではないでしょうか。
海岸の漂着物を拾う活動をビーチコーミングといいます。お散歩などで海岸を訪れたときには、海を眺めるだけではなく、砂浜に落ちているものにも目を遣ると面白い発見があるかもしれません。
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