広報ちがさき 2019年(令和元年)11月1日号 No.1130 1面 市立病院の経営改革 安定して医療を提供するために  市は、2016、2017年度と2年連続で約10億円の赤字が続く市立病院の経営改革に集中的に取り組んでいます。将来にわたり安定した経営環境の下で必要な医療サービスを提供するため、リバイバル・ロードマップ(経営改革に向けた行程表)に基づき、2022年度までに安定した基盤を築きます。 【市立病院病院総務課総務担当・用度施設担当、医事課医事担当・経理担当、 病院経営企画課経営企画担当いずれも☎︎(52)1111、企画経営課企画経営担当】 地域の基幹病院として利用率向上が課題  市立病院は、主に重症患者に対応する地域の基幹病院として、高度で専門 的な医療を提供するとともに、自治体病院として、採算の面から収支の均衡 を図ることが難しい小児・周産期医療や救急医療等を提供しています。  そうした中、医療の質やサービスの向上のため、新たな医療機器の購入や 電子カルテシステムの導入、夜間の人員体制確保を目的とした看護師の採用 などに取り組んできました。直近10年間の状況を見ると、収益全体としては 増加傾向で推移していますが、患者数は頭打ち傾向にあり、1人1日当たりの 平均入院単価・外来単価も同規模の公立病院に比べ低いことなどから、費用 が収益を上回る状況となっています(右図)。  今後は、患者のみなさんや地域のニーズを踏まえた上で費用と収益のバラ ンスを図り、地域の診療所などと連携をとりながら、より多くの方に市立病 院をご利用いただけるよう努めます。 収益に対する費用の推移と内訳 0 20 40 60 80 100 120 億円 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017年 46.26 17.96 14.61 13.70 46.44 17.58 14.43 12.91 47.17 17.64 15.09 12.45 48.91 17.11 16.20 12.61 50.93 18.65 16.93 12.55 50.94 19.41 17.12 11.63 52.66 19.83 17.26 13.33 55.26 20.18 17.13 13.54 58.79 21.38 16.76 14.99 61.55 21.60 17.68 14.59 経常収益 給与費 材料費 経費 その他 棒グラフは費用、線グラフは収益の推移を示しています 地域に必要な医療が提供できる体制づくり  市民のみなさんに必要な医療を提供できる体制を維持するため、市では次の取り組みを進めています。10月には市立病院事務局内に病院経営企画課を新設し、より早急に経営改革を推進します。 収支改善に向けた主な取り組み例 ■診療報酬増収に向けたシステム活用   経営分析システムなどを活用し、他院の収益構造を分析しながら、自院の検証・改善を行い、診療報酬増加を図る ■地域の診療所との連携強化   地域の診療所を継続的に訪問するなど、顔の見える関係を構築し、病院間での紹介・逆紹介を積極的に進める ■救急患者受け入れ体制の強化   救急患者を積極的に受け入れる病院内・外の連携体制を構築する ■給与体系の見直し・再構築   特殊勤務手当、初任給調整手当などの支給対象や業務範囲の最適化を図る ■職員定数の最適化  常勤・非常勤職員の最適な定数管理を行う ■高額医療機器購入の更新計画策定   現在保有する高額医療機器の更新計画を策定する 一般会計の経費負担の適正化  市立病院は独立採算を原則に運営していますが、国の基準に基づき、不採算部門である救急医療や高度医療に必要な経費などは市の一般会計が負担しています。負担額の適正な水準を精査し、毎年度の予算に反映します。また、 市全体の事業への影響を考慮しながら、2022年度までの限定措置として、国の基準に基づく負担金とは別に一般会計から財政的支援を行います。 病院の組織改革に向けた取り組み  収支改善策で成果が見いだせない場合や、今後ますます厳しくなることが予想される市の財政状況によっては、さらに改革を進める必要があります。  中長期的には、急性期病院の機能を主としつつも、他の機能(患者の在宅復帰支援を行う地域包括ケア病棟など)を持つことや、経営形態変更(地方公営企業法の全部適用、地方独立行政法人化、指定管理者制度の導入など)といった組織改革の検討を収支改善の取り組みと並行して進めます。こうした組織改革の取り組みを進めてもなお、十分な成果が見込めない場合には、本市における公立病院の必要性を見極めた上で民営化を視野に入れた検討も選択肢として考えられます。 市立病院の経営改革について(リバイバル・ロードマップ) 経営改革に向けた取り組みの詳細は、市HP でご覧いただけます。